通報
その夜、消防隊の詰所に一本の通報が入った。
町はずれの森で、夜通し正体不明の光が明滅している。地面の奥から、獣の唸り声にも似た低い振動が響いている。さらに、飼い猫を追って森へ入った住人とも連絡が取れなくなった。
探している猫の名は、Whiskers(ウィスカーズ)。
出動要請が下りる。装備を整え、車に乗り込み、あなたたちは森へ向かった。
この出動が、地上だけでは終わらないことを。
森
森は、不自然なほど静まり返っていた。
虫の声がしない。風はあるのに、葉の擦れる音がほとんど聞こえない。歩くたび、背後に視線を感じる。振り返っても、そこには誰もいない。
そして、道がおかしい。進んでいるはずなのに、見覚えのある木や岩、さっき通ったはずの景色が再び現れる。
足元には、小さな痕跡が点々と残されている。それだけが、進むべき方向を示していた。
FIELD NOTE
木の幹には、爪痕にも文字にも見える奇妙な傷。自然についたものとは考えにくい。
FOUND OBJECT
地面に落ちていた小さな首輪。金属プレートには、ひとつの名が刻まれていた。
WHISKERS
人が消えた夜には、森の上空で光が目撃されている。
光、そして船
それは、音もなく訪れた。
頭上が白く灼ける。身体が地面から離れる。叫んだはずなのに、自分の声が聞こえない。森も、仲間も、何もかもが光の中に沈んでいく。
次に目を開けたとき、そこはもう森ではない。濡れたように黒い壁。脈打つ光。金属とも生物とも言い切れない構造物。
そして腕に、奇妙な違和感がある。皮膚の下で、何かが動いている。
あなたたちは連れ去られた。そして、すでに感染している。
未知の装置を恐れるな
見た目だけで用途を決めつけるな。触れ、動かし、反応を確かめろ。船内の装置そのものが、先へ進む手掛かりになる。
上下の感覚を疑え
船内では、重力さえ仕掛けのひとつ。行き止まりに見えたら、視点を変えて周囲を見ろ。
痕跡を見逃すな
船内には、過去に連れ込まれた者たちの痕跡が残されている。残されたものが、脱出への手掛かりになる。
Whiskersを見失うな
あの猫も、この異常の中にいる。姿を見つけても、そこで任務が終わるとは限らない。
寄生体
体内に入った“それ”は、待ってはくれない。
感染の詳細は不明。ただし、時間の経過とともに身体に異変が現れることだけは分かっている。
感染拡大前に脱出せよ45:00
目標は単純だ。船から脱出し、感染を止め、生きて地上へ戻る。
生還の心得
ここから先は、知識より行動がものをいう。生きて戻るために、次のことを覚えておいてほしい。
あなたの手にある道具が、仲間の問題を解くことがある。見つけたもの、分かったことは声に出して共有する。
掴む、引く、回す、投げる。見ているだけでは分からないものがある。反応が返るものは、必ず試す。
行き止まりに見えたら、天井を見る。床の裏を想像する。思い込みが、いちばん強い壁になる。
そして、出動
まもなく装備を身につける。
ヘッドセットを下ろした瞬間、
日常は消える。
残るのは、森の闇。頭上の光。異星の船。そして皮膚の下でゆっくり動く、
あなたのものではない何か。
全員で戻れるかどうかは、あなたたち次第だ。